自宅にいながら個室会食ができる「オンラインレストラン」が変えるもの

December 07, 2020
自宅にいながら個室会食ができる「オンラインレストラン」が変えるもの
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2020年10月24日と25日の2日間、WEB上で「オンラインレストラン」が開店していたのをご存知だろうか。実在するレストランから顧客のもとへ宅配便で料理が届き、開店当日にはオンライン会議システムを使って、レストランと顧客、そして食材を提供した生産者などがつながり食事を楽しむというもの。「Eコマース」と「Zoom飲み」を融合し、離れた場所にいる家族や友だちとオンラインでつながり、自宅に居ながら会食を楽しめる…という、新しい飲食体験を提供している。

オンラインレストラン

オンライン上で個室での会食体験

ポイントは、顧客と店だけでなく生産者とのつながりを提供できる点。そして通常の(リアルな)レストランと同じく、グループごとにテーブルを割り振り、まるで個室で会食しているかのような気分を味わえる点が、一般的なオンライン会議システムを使った飲み会と異なる。オンライン会議システム上に“メインダイニング”と“個室”をそれぞれ用意し、顧客がその2つを行き来しながら会食を楽しむというイメージで、なんともおもしろいのだ。

日本料理てのしま
写真提供:「日本料理てのしま」

この日「オンラインレストラン」を開店したのは、東京・南青山の「日本料理 てのしま」。「瀬戸内の豊かさを味わう昼ごはん」と題して、香川県でとれるいりこ(カタクチイワシの煮干し)と、広島県で栽培されている無農薬レモンを軸にした和食のセットを、2日間で100人分用意した。「瀬戸内海は、日本のイタリアだ」と言うのは、店主の林亮平さん。「レモンの栽培が盛んで、いりこの原料であるカタクチイワシはアンチョビの原料でもあります。そしてイタリアも瀬戸内もオリーブの生産者が多い。これら3つの相性の良さを和食というプラットフォームで体験してほしい」

オンラインレストランの材料

この日、顧客のもとに「てのしま」から届いたセットの内容は以下の通り。

 一、穴子棒寿司 蜜柑がり添え
 二、鶏と蓮根のオリーブオイル和え レモン酢味噌がけ
 三、いりこにゅうめん レモンとオリーブの香り
 四、「やまくに」の極上のいりこ(約10g)
 五、AJINOMOTO オリーブオイルエクストラバージン(200g)

店主の林亮平さん

店主の林亮平さんと、奥様で女将の林紗里さんが画面越しに料理の準備や盛り付けについて、オンライン会議システム上の“メインダイニング”に集まった顧客へレクチャーするところから「オンラインレストラン」がスタートした。

穴子寿司

「穴子寿司は600Wの電子レンジで1分半から2分程度加熱すれば、お召し上がりいただけます。そこにツメをかけ、瀬戸内海の蜜柑と生姜でつくった蜜柑がりを添えます」

鶏と蓮根のオリーブオイル和え レモン酢味噌がけ

「自然解凍した鶏と蓮根をオリーブオイルで軽く和え、いりことレモンを加えた酢味噌をかけます」

いりこにゅうめん

「いりこにゅうめんの出汁の材料は水といりこ、醤油と塩だけです。いりこの出汁とレモンとの相性は抜群。オリーブオイルを回しかけると香りがまとまります」

それぞれの「距離感フリー」の楽しみ方

京都は「菊乃井」で長年の間、店主の村田吉弘さんを支える二番手として活躍してきた日本料理のプロが作った料理を家庭のキッチンで仕上げ、指示に従って美しく器に盛り付けていく…。料理の準備が整えば、顧客はグループごとにそれぞれの“個室”で会食を楽しむというわけだが、店主と女将が各個室を巡回し、この日の料理や食材、そして「てのしま」のコンセプトなどを説明する時間も用意されている。店主と女将が訪れた“個室”では、離れて暮らす家族が久しぶりに集って誕生会を楽しんでいたり、中にはコロナ禍ゆえにしばらく足が遠のいていた「てのしま」の常連客が店主・女将との再会を喜んだりと、さまざまな目的で「距離感フリー」な環境を楽しんでいる様子が伺えた。

菊乃井

生産者と生活者の距離が近づく

顧客同士の距離も縮まるが、生産者と生活者の距離が近づくのも「オンラインレストラン」ならではの体験価値かもしれない。上述のとおり、カタクチイワシのいりことレモン、そしてオリーブオイルは、店主の林さんにとって欠かすことのできない大切な食材だ。今回はそれぞれの生産者が、現場からリアルタイムで登場するというコンテンツも盛り込まれた。

無農薬でレモンを栽培する「たてみち屋」の菅さん
無農薬でレモンを栽培する「たてみち屋」の菅さん

広島県尾道市瀬戸田町でレモンを栽培している「たてみち屋」の菅秀和さんは、「農薬や化学肥料は使っていません。肥料のやりすぎでレモンが美味しくなるのを邪魔しないように。土の中にミネラルや微生物が増えるように、有機質の堆肥や天然素材の液肥を葉に散布して、レモンを育てています」と自らのレモンを紹介する。実は、参加者のもとには濃緑色のグリーンレモンも届けられていた。パッケージを開けた途端にスパイシーな芳香を放つこのレモンは、樹上で徐々に黄色く色づき、2月には鮮やかなレモンイエローに。だんだん甘味とうま味が増していくそうだ。

10月に収穫する青レモンはスパイシーな香りを放つ。
10月に収穫する青レモンはスパイシーな香りを放つ。

続いて登場したのは、香川県観音寺市の伊吹島で水揚げされるカタクチイワシからいりこを製造・販売する「やまくに」の会長、山下公一さん。林さんにとって山下さんの「銀付いりこ」は最も重要な素材で「瀬戸内を象徴する食材」と位置付けている。

眩しいほどに輝く「銀付いりこ」
眩しいほどに輝く「銀付いりこ」

「銀付いりこ」とは、文字通り背中の鱗が美しい銀色に輝くいりこのこと。群れで泳ぐカタクチイワシの習性を利用して網で獲るが、その際大抵の場合は網によって擦れるため鱗(うろこ)が取れてしまう。しかし、毎年7月の一時期のみに発生するミズクラゲの群れとともにカタクチイワシの群れを一網ですくい取ると、クラゲがよいクッションとなり美しい姿のままイワシを水揚げできるというわけだ。

イワシ
写真提供:「日本料理てのしま」

しかも、漁獲後にはイワシが生きているうちに素早く加熱処理をするため「やまくに」の「銀付いりこ」は背中が「く」の字に曲がっていたり、大きく口を空けていたりする…。そしてこの時期のカタクチイワシは脂が程よく落ちた筋肉質な状態。ゆえに脂の酸化による劣化も少ない。…偶然のような必然が重なった「銀付いりこ」のミラクルなストーリーもまた「オンラインレストラン」が提供するサービスのひとつなのかもしれない。林さんのルーツでもある瀬戸内海に浮かぶ小さな島「手島」で食事を楽しんでいるかのような気分になる。

オンとオフを融合した新しい飲食体験

そもそも「オンラインレストラン」の目的は「距離感からフリーな状態で、飲食体験を楽しめる環境をつくることです」と言うのは、この企画を立案・実施している株式会社電通の「食生活ラボ」を主宰する大屋洋子さんだ。

「きっかけは新型コロナウイルスの感染拡大です。今回のコロナ禍で誰もが以前のように気軽に飲食店に足を運べなくなってしまいました。飲食店側でもテイクアウトやデリバリーなど新たな手だてを考えて努力されていますが、もう一歩進んだ新しいレストランの形はないだろうかと模索する中で生まれたのが、オンライン会議システムを活用して、レストラン・生活者・生産者をつなぐ『オンラインレストラン』でした。離れて暮らす家族で…、久しぶりの友人たちと…、会社の同僚と一緒に…。別々の場所に居るにも関わらず、個室で気兼ねなく“飲食空間”を共有し、同じ時間に同じ料理を味わいながら大切な人たちと一緒に時間を過ごすのです」。

オンライン会議システムを活用して、レストラン・生活者・生産者をつなぐ『オンラインレストラン』

飲食店が単独で同様の形で運営しようとすると、送料やECシステム利用料などが上乗せされ、料理が割高に感じてしまうようになる。

「それではお店の価値を下げてしまうため、価格はリアルでの営業の水準を維持すると同時に体験価値を向上させるためには、送料やシステム料を担保してくださるパートナーが必要だと思いました」。

そんな呼びかけに応じ、パートナー企業として立ったのがJ-オイルミルズ。注文したユーザーへの料理代の10%とその配送料を負担、今回の料理に仕上げとして使うオリーブオイルを各ユーザーに提供した。

あらゆる“距離”を縮めるレストランの可能性

離れて暮らす家族や友人、つくり手と食べ手、生産者と生活者、それらのつながりを支えるパートナー企業――。レストランを媒介にして、さまざまな距離を縮めることのできる「オンラインレストラン」のポテンシャルは今後さらに拡大するだろう。

あらゆる“距離”を縮めるレストランの可能性

Eコマースを賢く楽しむ方法

「オンラインレストラン」は、いわば体験価値の付いたEコマースだ。申し込みや決済もオンラインで完結させているため、基本的にクレジットカードによるオンライン決済となっている。このようなオンラインによって提供される体験の機会は、今後ますます増えるだろう。そして、決済手段としてクレジットカードを使用することで、多くのメリットを得ることができる。

例えばその1つに、「ポイントの獲得」がある。「オンラインレストラン」の支払いの後にも、そこで出会った生産者のECサイトで食材を再購入することがあるだろう。それだけでなく、日常生活の中でも、公共料金の支払い、コンビニエンスストアでの買物など、支払手段としてカードを選択すれば、さまざまなシーンでポイントを貯めることができる。一度ポイントを交換すれば、有効期限が無期限になるなど、貯まったポイントの使用方法もカードによって違うため、カード利用の支払いから、マイルや提携ポイントへの移行、カード会社が厳選した特別なアイテム・体験との交換など、ライフスタイルに合わせて多様な選択肢があるクレジットカードを選ぶとよいだろう。

▼オンラインレストラン
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TEXT:三好かやの、PHOTO:sono、写真提供:日本料理てのしま

LifExpress編集部

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