選ぶことが未来を変える。ハチドリ電力が見据える自然エネルギーの可能性

November 05, 2020
選ぶことが未来を変える。ハチドリ電力が見据える自然エネルギーの可能性
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自然エネルギーの電力を使うことでCO2の削減に寄与できると同時に、社会活動団体への寄付もできる。さらに従来の電力より安上がりになるケースも少なくない…。そんな夢のようなビジネスモデルを実現しているのが「ハチドリ電力」のサービスだ。

発電時のCO2排出量は、全体の4割も

ハチドリ電力の小野悠希さん
提供:ハチドリ電力

「実は、日本のCO2排出量のうち40%以上が発電によるものです。電気を生み出すエネルギーの約8割が、CO2を出す火力発電によるものゆえにCO2排出量のうち発電由来のウェイトが上がってしまうのです」と話すのは、ハチドリ電力の小野悠希さん。

日本の部門別 二酸化炭素排出量の割合(2018年度)

そして家庭のCO2排出量を見てみると、全体の約半分の46%が電気からということがわかる。これも日本が火力発電に頼っているため起きていることだ。

「逆に言えば、現在の火力発電を自然エネルギー100%に切り替えると、家庭から排出するCO2を半分減らすことができる。それは今、私たちができる地球温暖化防止の大きな一歩になると考えました。これが『ハチドリ電力』という電力事業を始めるきっかけです」

家庭からの二酸化炭素排出量(2018年度)

ハチドリ電力、3つの特徴

ハチドリ電力の特徴は大きく3つある。まず、届ける電力はCO2を排出しない実質自然エネルギー100%で作られているということ。次に、支払う電気使用料金のうち1%が自然エネルギーの発電所を作るために使われる。そして、別の1%は自分が応援したい社会活動の支援のために使えるということだ。

ハチドリ電力の支援団体
支援先として選べる団体は2020年10月現在、40を越えている。
出典:ハチドリ電力公式HP

「日本に寄付文化はないと言われますが、潜在的に誰かの役に立ちたい、貢献したいという思いはあると思うんです。その気持ちを無理なく継続できる環境を…と発想し、1%で支援するということを考えました」。

環境問題を解決するために「日本一安い電力会社」になる

自然エネルギー由来の電気で、なおかつ電気代には寄付も含まれる。そう聞くと「(通常の)大手電力会社よりも電気代が高いのだろう」という先入観を持つ人は多いだろう。しかし、「実は大手電力会社さんの電気使用量よりお安くなる場合も多くあります」と小野さん。

簡単に説明すると、通常の電気代は「毎月の電気使用量(電力仕入)+電力会社の利益」で電気代が計算されているのに対して、ハチドリ電力は「毎月の電気使用量(電力仕入)+月額会費(500円)」で提供するからだ。「電力会社の利益」は電力会社ごとに異なるので一概にはいえないが、使用量に応じて金額が変わる「利益」に対し、「会費」としてユーザーから徴収する金額を固定するため、透明性が高いし、会費は個人だとわずか500円なので大手の電力会社より毎月の電気代が安くなるケースが多いという(ハチドリ電力の月額会費は、個人の場合は一律500円。法人会員の場合は使用電力に応じて500円〜2,000円)。

ハチドリ電力導入で電気代が安くなるケースが多い理由

「使用料がどれだけ大口のお客様であっても、うちは最大で月に2,000円しかいただきません。全然儲からない(笑)。それでも会費制にしているのは、切り替えていただくためです」と話す。自然エネルギーに好意的な印象を持つ人も、本音は「高くなるのだったら切り替えない」と思う人が多いからだ。

「社会貢献=割高」という幻想を壊す

社会貢献をするという行為には、「通常よりも割高」という前提が暗黙条件のようにおかれていることが多い。「安さ」は多くの場合、誰かの犠牲の上に成立しているからだ。ただ、自然エネルギーについては「地球に優しい」と「電力の安さ」は両立しうる、と小野さんは言う。

「いいものは高いという考えはもちろんあって、それ自体を否定するつもりはありません。ただ、電力に関しては、それだと一部の生活にゆとりがある方で、意識が高い方にしか届かない。一方、地球温暖化は全人類が直面している問題、全人類が引き起こしている問題で、皆で取り組むべき問題として捉えています。そうすると、やはり皆が取り入れやすい形にしないと広がらない。そのためにまず、会社は少人数で運営する体制で始めました。現在実働している社員は私を含めて3名です」

広告費もゼロだ。「NPOの方々と協業して、NPO活動に関わる方々を通してハチドリ電力も支援していただいています」と小野さん。「環境問題や社会課題のいま」を、第一線で活動する有識者から学ぶオンラインイベント「ハチドリアカデミー」も定期的に開催するなどして、イベントを通して「ハチドリ電力」に興味がありそうな人々にリーチできる手法も整えつつある。

電気の「原料」を意識する

自然エネルギーの種類としては、太陽光、風力、水力(ダムの水など)、小水力(川の流れを生かした水車など)、地熱、バイオ熱などがある。ハチドリ電力は、こうした自然エネルギーだけを販売している。

ちなみに電力は電力卸売市場から調達している。電気は同質のため、自然エネルギー由来の電気と火力発電による電気との間に差はない。だから市場に集まった電力のうち自然エネルギーを選択したと証明する「非化石証書(再エネ指定)」を購入することで「実質自然エネルギー」といえる電力を100%調達しているという。2020年9月でみた場合、ハチドリ電力が供給した電力のうち21%にあたる電力が自然電力株式会社の保有する発電所からのもの。調達量は35,917 kWhだった(※1)

「重要なのは、自分が払った電気代がどうやって発電された電気に支払われるかということで、意識をしなければ(自動的に)火力発電を推進することになる。適切なところにお金を落とすと考えていただくことが大切かなと思います」(小野さん)。

※1 厳密にはインバランス(需要と供給の差異)の数値を加味しない速報値

目指すべき姿はマイクログリット

電力市場に占める自然エネルギーによる年間発電電力量の割合は2018年で17%(※2)。2019年には19.2%と増加した(※3)が、他の先進国と比べるとまだ少ない。そこでハチドリ電力では、将来的には自然エネルギーの発電所を作る計画も進んでいる。

※2 電気事業連合会調べ
※3 資源エネルギー庁「電力調査統計」などから環境エネルギー政策研究所が算出

「私たちの電力供給の最終形態、目指すべき姿は分散型エネルギー発電、マイクログリットです。マイクログリットの考え方は、大きな発電所でたくさん発電するのではではなく、小さな町単位の発電所があって、基本的には各々の屋根で太陽光発電をして、足りない電力は小さな発電所から購入する。それがあるべき姿だと思います」

マイクログリッドの考え方

マイクログリッドの考え方

分散型エネルギー発電のメリットとしては、環境に優しいことのほか、災害時でも独立して機能する安定性の高さや、コンパクトな投資で導入可能であること、電力ロスの少なさなどが挙げられる。

目指すべき世界は、現状からはほど遠いように見える。だが、一歩を踏み出すことはできる。それは自然エネルギーへと切り替えをすることだ。ハチドリが森の火事を消すために、クチバシにひとしずくの水を含んで運んでは火の上に落としたという南アメリカ先住民に伝わるストーリー「ハチドリのひとしずく」の理念を社名に掲げたハチドリ電力のビジネスモデルは、私たちの一つひとつの消費行動が、未来を変える力を秘めていることを教えてくれる。

未来を変える力を秘めた消費行動をさらに有効活用する方法

「ハチドリ電力」のような、社会的な課題を解決する営みに対して個々人が参加できるサービスやプラットフォームは、今後ますます増えていくだろう。「ハチドリ電力」では支払い手段にクレジットカードを選択するユーザーも多いと小野さんは言う。

水道光熱費のような公共料金の支払いは毎月必ず発生するため、利用金額に応じたポイントも貯まりやすい。たとえばアメリカン・エキスプレスでは「メンバーシップ・リワード」のポイントを、支援金やドネーションとして使うことができるプログラムを3つの分野で用意している。
【復興支援・緊急支援】「令和2年7月豪雨災害支援寄付金」「次の大規模自然災害に備える被災地支援の拠点用テント・プレハブ等の購入資金」など。
【海外医療・教育支援】「シリア難民の子どもたちに届ける診療費用(レバノン)」「国連UNHCR協会:難民の子どもたちへの教科書1人分相当の寄付」など。
【文化遺産・芸術保護】「東京国立博物館:文化財修理寄付」「世界文化遺産 総本山醍醐寺の桜の植樹」など。

TEXT:柿本礼子、イラスト・グラフ:編集部作成 ※その他の提供元は各写真に記載 

ハチドリ電力 公式HP

LifExpress編集部

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