「生ごみ」を「肥料」へ。「肥料」で「野菜」を。LFCコンポストが見つめる未来

October 01, 2020
「生ごみ」を「肥料」へ。「肥料」で「野菜」を。LFCコンポストが見つめる未来
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都会で実践するコンポストが、「消費」から「生活」へと食の未来を変える

フェルト地の手提げバッグ型「LFC(ローカルフードサイクリング)コンポスト」は、生ごみを捨てずに堆肥へと変え、その堆肥で野菜を育てるという、小さいながらも正しい循環を体験できるキットだ。このLFCコンポストが、生産者と対話できる直販アプリ「ポケットマルシェ」との協業サービス「農家さんと一緒に育てる体験コース」をスタートし、話題を集めている。

人が自分事としてものごとに取り組めるのは「半径2km」。身の丈に合った単位内にある“小さな循環”の体験から得られるものとは? そこから変わる未来の姿とは? 「ローカルフードサイクリング」代表の平由以子氏と、「ポケットマルシェ」代表の髙橋博之氏に聞いた。

プランター

都市圏にこそコンポストが必要だ

日本の食品廃棄物は年間2759万トン、そのうち食べられるのに捨てられる「食品ロス」の量は年間643万トンと推計されている。うち、約半分の291万トンが一般家庭から出ている(農林水産省および環境省「平成28年度推計」より)。温室効果ガスを生み出す37%がフードシステム由来と言われるなか、消費者の私たちは自分たちの捨てる生ゴミに無関心ではいられない。

このような状況の中、一つの回答が都市部の生活者を想定されて開発されたコンポスト「LFCコンポスト」だ。スタイリッシュなフェルト地の防水チャック付きバッグの中にはコンポストの基材(下地のこと)が入り、部屋の中に置いていても匂いが気にならず、害虫も入らない。

LFCコンポスト
撮影:sono

「ローカルフードサイクリング」代表の平由以子さんは、父のガン宣告から食養生の大切さを知り、安全な野菜を育てるための土の大切さに気づく。土壌の改善という視点から、コンポストを利用した半径2kmの循環の仕組み作りに取り組んできた。NPO法人循環生活研究所を設立し、ダンボールコンポストのノウハウを中心に据えた地域づくりに20年以上関わり、2019年にローカルフードサイクリングを設立した。

半径2kmの小さくて正しい循環

堆肥作り名人だった実母とともに、平さんがコンポストを活用した土作りの活動をスタートしたのが1996年。
「半径2km単位で循環の仕組みを作るということを柱に、堆肥の適正な作り方を広げるということと、都市部にも広げることを掲げてNPO活動を長年続けてきました。アジアを含め、全国に約200名のアドバイザーがいて、堆肥のノウハウを広げています。年間8万人を超える人たちに普及できる体制が整っているものの、長らく私たちが使っているダンボールのコンポストは見た目が格好いい訳でないので、広がりには限界がありました。マンションに住む都会の人たちは始めることもできない。20年間活動してきて、まだ9割を超える人が焼却場に生ゴミを捨てているという事実に打ちのめされました」

生ゴミを資源化する仕組みを作るNPOの活動ではどうしても赤字が発生し、助成金を使わざるを得ない。膨大な量の申請書や報告書を定期的に提出するために取られる時間は年間3カ月以上。「団体としても疲弊してしまっていた。この事業を持続可能にするためにはビジネスで回す必要があると、NPOの理事長を交代してもらい、コンポストで起業したのです」。

コンポストを活用した土作り
水や虫の侵入を防ぐファスナー付きのフェルト製バッグには、生ゴミの分解を速めて悪臭の発生を抑える独自の配合基剤(生ゴミと混ぜ合わせる原料)が入っている。1日約300gの生ゴミを、1.5カ月〜2カ月間投入することができ、その後2〜3週間ほどで栄養価の高い堆肥となる。アドバイザーのきめ細かなアフターサービスがあるのも特徴で、LINEや電話などで堆肥づくりのお悩みに対応。20年以上蓄積されたノウハウが強みだ。
撮影(写真左のみ):sono

コンポストの商品化で目指したのは「これまでコンポストを使っていなかった人が振り向く商品」。通気性のいいフェルト生地を使い、匂いや害虫が入らないように防水式のファスナーをつける位置や色を決め、堆肥の使い道がない人は堆肥を回収できるようにバッグ型にした。

「SDGsやサーキュラーエコノミーが話題になることが多いですが、これらの文脈でも生ゴミへの取り組みは最後に残されがち。なぜかというと、時間の経過で形状が変わるからです。また他の生き物に狙われやすい。少量で多様なところから出る。マテリアルとしては非常に難しいです。半径2kmのコミュニティーで解決するのがベストと私が考えた理由もここです。ただ、都会の人が堆肥を使いきれないのであれば、この堆肥を生産者に渡して野菜と交換する仕組みを作れたら」

都会の人が少量でも食べものを育てることは、自分の食べているものを振り返る機会になるはずだ、と平氏。この思いは今回のポケットマルシェとの協業の出発点にもなっている。

「ポケットマルシェ」代表の髙橋博之氏
「ポケットマルシェ」代表の髙橋博之氏。岩手県議会議員を経て、食べもの付きの情報誌『東北食べる通信』を創刊、全国に「食べる通信」モデルを広げる。2016年「個と個をつなぐ」をミッションに、スマホアプリ「ポケットマルシェ」をリリース。
撮影:sono

ポケマルとの協業で小さな循環が強度を増す

ポケットマルシェは、一次産業に特化したCtoCプラットフォーム、と代表の高橋博之氏は説明する。「出品者は農家や漁師。生産者が旬の食材や、漬物などの“育てる系”の商品を自分で値付けして販売します」。
食材を購入した消費者と生産者がダイレクトにつながる仕組みがあるのも特徴だ。インターネット上のコミュニティでは送った野菜の話や食べ方についての話が交わされている。

LFCコンポストで作った堆肥を使って土作りをし、そこに送られてきた野菜の種をまいて育てる「農家さんと一緒に育てる体験コース」には、これまでに4軒の農家さんが登録し、土作りから栽培までを「伴走」してくれる。

野菜を収穫している様子

「消費者」から「生活者」へ

2019年の暮れにオレンジページ社の一木典子社長が両者を引き合わせたことが、今回の協業の出発点となった。LFCにとって、企業のスケーリングを利用し変革のスピードをあげるという点でも、22万人のユーザーを持つポケットマルシェとの協業は大きな意味がある。またポケットマルシェにとっても、「消費」から「育てる」というフェーズを提案することで、目指す未来により近づいているという。

「“消費”は、費やして消すと書きますが、僕自身はいつまでそんなことをやっているんだという思いがあります。生産者が生産したものを活かして生きる“生活”者に変わっていかなければならない。生産者から直接買ったものを感謝して料理して食べ、どうしても余った生ごみはコンポストで堆肥に変え、自分が生産する側に変わる。そのように消費するだけでなくて生産する側に近づいて行ける未来が実現するといいな、と思っています」(高橋氏)

「自分で(食べ物を)育てるということは、五感も育つし、自分の食べているものを振り返る機会になると思います。私たちは堆肥を作るところまでを全力でサポートし、その後のおいしい野菜を作るところはポケマルさんが全力でサポートします。このようなリレーができるのを嬉しく思います。そして、さらに質のいい堆肥ができるという風にスパイラルアップしていくと思います」(平氏)

生み出すための購買。支えるための入口。

生ごみを捨てない暮らしを実現させるだけでなく、小さくて正しい食の循環も体験できる「LFCコンポスト」。それを軸にして“消費者”から“生活者”への変革をうながす「農家さんと一緒に育てる体験コース」。これらは、私たちがリアルな感覚を保ちながら食品ロスや温室効果ガスの課題に関わることができるわかりやすい入口となる。

消費するために…ではなく生産に関与するために商品やサービスを購入するという意識は今後ますます増えていくことが予想される。また、社会的な課題を解決する営みに対して個々人が参加できるプログラムやプラットフォームも増えていくだろう。

たとえばアメリカン・エキスプレスでは「メンバーシップ・リワード」のポイントを、支援金やドネーションとして使うことができるプログラムを3つの分野で用意している。
【復興支援・緊急支援】「令和2年7月豪雨災害支援寄付金」「次の大規模自然災害に備える被災地支援の拠点用テント・プレハブ等の購入資金」など。
【海外医療・教育支援】「シリア難民の子どもたちに届ける診療費用(レバノン)」「国連UNHCR協会:難民の子どもたちへの教科書1人分相当の寄付」など。
【文化遺産・芸術保護】「東京国立博物館:文化財修理寄付」「世界文化遺産 総本山醍醐寺の桜の植樹」など。
社会課題の解決に寄与するポイントの使い方についての詳細はこちらから。

TEXT:柿本礼子、PHOTO(アイキャッチ提供):ローカルフードサイクリング株式会社
※その他の撮影者は各写真に記載

▼LFCコンポスト 公式HP

▼ポケットマルシェ 「農家さんと一緒に育てる体験コース」

LifExpress編集部

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