サブスクでコミュニティが支える農業の在り方――Ome Farmが体現するCSA

September 24, 2020
サブスクでコミュニティが支える農業の在り方――Ome Farmが体現するCSA
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明るいグリーンの農場で育つ野菜たち

東京都の西の端、青梅市のOme Farm。代表の太田太さん(37歳)に連れられて、真夏のナス畑を訪ねた。ナス、シソ、ナス、ホーリーバジル、そしてまたナス……。一直線の畝に、ナスとハーブが交互に並んでいる。

同じ畑にナスだけをたて続けに植えると、虫が寄ってきがち。だから間に忌避効果のあるハーブを植える。「コンパニオンプランツ」の関係だ。

ナスもハーブも葉色がとても鮮やかで、雑草も含め畑全体が明るいグリーンに輝いている。土壌の窒素分が多すぎると、野菜の葉は濃く、暗くなりがちだから、ここの土には、余分な肥料が与えられていないのだろう。

ファッションの世界から農業へ。6年前、青梅に農場を開いた。
ファッションの世界から農業へ。6年前、青梅に農場を開いた。

「今日は20キロ注文が入っているので、作業しながら話しますね」と、ハサミ片手にチョンチョンと収穫を始める。手にしたナスは、よく見る「千両二号」的な卵型のナスに比べると、かなり小ぶりだが、その姿は凛としていて美しい。「寺島ナス」という品種だ。「江戸東京野菜」のひとつで、江戸時代から墨田川沿いで作られていた。他にも薩摩白長ナス、「東京五角」という名のオクラ、ひもとうがらし、ちりめんじそ……各地で細々と受け継がれてきた在来作物を作っている。いずれも化学肥料や農薬が登場する以前から日本に存在していたので、決して大きく、多収ではないけれど、近代的な農業資材の力を借りずに育つことができる。

江戸時代、隅田川沿いの寺島村(現在の墨田区)で作られていた寺島ナス。
江戸時代、隅田川沿いの寺島村(現在の墨田区)で作られていた寺島ナス。

ナスに続いて、シソ、そしてホーリーバジルを収穫。やわらかな新芽を選んで、先端から10センチほどをカットしていく。集めたバジルをカゴに移した途端、なんともいえず甘やかな香りが、あたり一面に広がった。

名うてのシェフたちもハマる、香り高いホーリーバジル。
名うてのシェフたちもハマる、香り高いホーリーバジル。

スパルタ農場でファッションモデルと武者修行

「今の日本の農業って、基本的に足し算だらけなんです」。そう話す太田さんが畑の土に与えているのは、その場に生えた草を刈り敷く緑肥と、自家製の堆肥だけ。それすら長く畑を使って土が「痩せた」と感じる時しか与えていない。

何かを食べなければ死んでしまう人間と違い、作物には光合成をして自力で養分を作るチカラがある。そのポテンシャルを信じて、よく観察し、ギリギリまで足さない。そんな哲学の元に育つ野菜たちは、まるで極限まで自らを追い込んでウエイトを絞り、闘い続ける格闘家のようだ。

太田さん
「農業と格闘技は、よく似ている」と太田さん。

かく言う太田さん自身、10代の頃はケンカの絶えない血気盛んな若者だったようだ。
「立ち技の格闘技はほとんどやりましたね」

18歳の時、「お前、体力余ってるなら畑へ来い!」と、声をかけてくれたのは、あるファッション界の大物プロデューサー。柔、剣、空手道、すべての有段者で、一見華やかな世界とは裏腹に、農薬や化学肥料に全く頼らぬ栽培を、スパルタ方式で実践していた。

オクラを弾く太田さん
「オクラはどんなに大きくても先端を指で弾くとぷよぷよしていれば美味しい」と太田さん。食べ頃を判断する際にも身体感覚を重視する。

アパレル→ニューヨーク→農業(いま)

太田さんの祖父は洋服のパタンナー、父は東京コレクションを立ち上げた太田伸之氏。子どもの頃からファッションショーの舞台裏が遊び場だった。自身も20代の頃は、ファッション業界で活躍。マーケティングを担当し、海外へ。服飾の大学で講師として教壇に立ったこともある。

転機が訪れたのは、長女が生まれた6年前。知り合いの企業が、青梅市で農業に参入する際、その立ち上げを任された。太田さんは、のちに親会社から農業部門を買い取って独立。名実共に農場のリーダーとなった。現在メンバーは9名。ニューヨークで知り合った池浦秀行さん、養蜂家の藤原誠一郎さんも、青梅出身ではないけれど、着々と農業を実践。最初は「ファッション出身の若造なんて…」と見られていたが、6年の間に、地元農協のトップから「君らは青梅の星だ。頑張ってくれ!」とエールを贈られるまでになった。

養蜂家の藤原さん
「養蜂家の藤原さんは、ミツバチの世話に余念がない。
栽培担当の池浦さん
栽培担当の池浦さんは、モロヘイヤととうがらしを収穫。

野菜クズや食べ残しを、畑に還す間柄

取引先の大部分が都内のレストラン。フレンチやイタリアンの名店が多く、気鋭のシェフたちが、何度も農場を訪れ農作業に参加する仲だ。ところが今年4〜5月、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言で、多くの店が休業に追い込まれ、Ome Farmへの注文も減ってしまった。

「お店が再開した時、農家がいないと困るので、Ome Farmの野菜を注文しませんか――シェフたちが、お客様に呼びかけてくれました」

数多くの注文が寄せられ、喜んだ束の間、それまで業務用にキロ単位で納めていた野菜が、家庭向けになったことで、細かな仕分け作業に大わらわ。発送作業が追いつかない。そこにもシェフやその仲間たちが手伝いに来てくれた。そんな太田さんたちが野菜を納品する際、彼らの店から引き取ってくるものがある。

「野菜の切れ端や食べ残し。スープを取った骨、貝殻も捨てません。砕いてしまえば問題ないから」

堆肥場の片隅に、レストランの野菜クズや出汁をとった昆布も。
堆肥場の片隅に、レストランの野菜クズや出汁をとった昆布も。

近くの山からかき集めた落ち葉、籾殻、少量の米ぬかに水を加えて切り返す。土着の菌が分解して発酵を始めると、温度は60℃以上に。これを何度か繰り返し、自家製の堆肥を作る。これにパーライトや黒曜石を混ぜ、育苗用の培養土として活用している。
「料理と同じように、土にもレシピがあるんです」
そうして生まれた培土は、サラサラしていて匂いもない。

レストランの廃棄物や身近な落ち葉が、再び土に還る。
レストランの廃棄物や身近な落ち葉が、再び土に還る。
ケールやハーブの苗
秋冬に向け、ケールやハーブの苗たちがスタンバイ。

こうして生まれた堆肥が、新しい苗を育てていく。

青梅の耕作放棄地を借り、レストランから集めた残渣を土に還し、廃材や、近隣の農家が使わなくなった資材もフル活用。かつて牛舎だった建物が仕事場だ。
「うちの農場は、みんながゴミだと思っているもの、いや、ゴミだと信じて疑わないものからできているんです」

ベース
海外からのゲストがこぞって「クール!」だと絶賛する元牛舎の作業場を、太田さんたちは「ベース」と呼んでいる。

農園からテーブルへ直結

命あるものが菌によって分解され、土に還り、また新しい作物を育てる。農業者は、その営みを手伝うサポーター。そしてまたその農業者をサポートする、新しい動きが始まっている。

「ニューヨークにいた頃、Farm to TableやCSAって言葉を、よく耳にしました」

畑とレストランが直結。ものが行き来するだけでなく、人がつながり、互いの思いも共有する。アメリカではレストランのシェフたちが中心となり、そんなムーブメントが生まれていた。農場を開設して6年。自然の営みを尊重し、土と人を循環させて生み出すOme Farmの野菜たちは、多くのシェフたちの共感を得て、レストランのテーブルに届いている。

それに連動するCSAとは、Community Supported Agriculture(地域支援型農業)。代金を先払いして、応援したい農家から定期的に野菜を受け取るシステムを意味しており、日本では、初期の生協活動が、その先駆けといわれている。

太田さんは、その足がかりとしてこの7月、浅草橋にOme Farm Kitchenをオープンした。焼鳥屋の2階にある小さな場所で、農場の野菜をふんだんに使ったランチ、夜はタパスが味わえる。

ロヘイヤとオクラのアジアンスープ
ロヘイヤとオクラのアジアンスープ(500円)
編集部撮影
ペコロスのグリル
メキシコのハーブ「エパソテ」も栽培。ペコロスのグリルに(700円)。
編集部撮影

浅草橋で生協を始めます!

「10月頃から、ここで浅草橋生協を始める予定です」
Ome Farmの野菜をセットにして、月額10,000円で毎週末配送するシステムを、Ome Farm Kitchenをベースにして提供しようと太田さんは考えている(週末の回数に合わせて野菜の量を調整)。消費税と送料は込み。決済はオンラインでクレジットカードも使える。浅草橋のKitchenへ、会員自らピックアップに行ってもいい。

ヒモトウガラシやハラペーニョ
辛味というより旨味を感じるヒモトウガラシや、激辛なことで有名なハラペーニョも。

これから生産者と都市住民は、売った、買っただけのドライな関係には収まらない。
「直接、畑や店まで、野菜を取りに行くよ」
「よかったら、うちの野菜クズも堆肥に使ってね」
「手が足りない時は、言って。畑まで手伝いに行くから」
青梅を起点に、そんな血の通ったつながりが、コミュニティによって支えられる農業のあり方が東京全域に広がろうとしている。

鶏のヒナは蜘蛛を捕食して、ミツバチがトラップにかかるのを防いでくれる。養蜂に続き、これから養鶏も始めると決めている。
鶏のヒナは蜘蛛を捕食して、ミツバチがトラップにかかるのを防いでくれる。養蜂に続き、これから養鶏も始めると決めている。

サブスク(定期購入)を賢く。

太田さんが考えているCSAの経済的な柱はサブスクリプションだ。サービスを購入することが、コミュニティを支える活動となる。今や、自動車からカフェのコーヒーに至るまで私たちの暮らしの様々なシーンでサブスクが顔を出すようになったが、その決済の大半はクレジットカードによって行われている。

今回紹介したようなCSAの年会費や音楽配信のようなサブスクはもちろんのこと、日常生活の中でも、公共料金の支払い、スーパーマーケットやコンビニエンスストアでの買物など、さまざまなシーンでクレジットカードを使用すれば、賢くポイントを貯めることができる。さらに、一度ポイントを交換すれば、最大3年間の有効期限が無期限になるカードも。貯まったポイントの使用方法もカードによって違うため、カード利用の支払いから、マイルや提携ポイントへの移行、カード会社が厳選した特別なアイテム・体験との交換など、ライフスタイルに合わせて多様な選択肢があるクレジットカードを選ぶとよいだろう。

たとえば、アメリカン・エキスプレスなら<メンバーシップ・リワード®>というポイント・プログラムがある。その詳細はこちらから。

TEXT:三好かやの、PHOTO:八田政玄 ※その他の撮影者は各写真に記載

Ome Farm 公式HP
Ome Farm Kitchen 公式FBページ

LifExpress編集部

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