「オンライン」と「酒蔵見学」の格別な相性を体験

August 19, 2020
「オンライン」と「酒蔵見学」の格別な相性を体験
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家にいながら、全国の酒蔵の今を知ることができ、作り手・送り手の想いを分かち合える仕組みが注目されている。オンライン酒蔵見学ツアー「KURAKEN」だ。手掛けるのは日本酒、焼酎、ウィスキーなど国産の酒をテーマにして営業する居酒屋「Umebachee(ウメバチ)」(渋谷)、「旬蕾(シュンライ)」(人形町)を営む梅澤豪さん。

新型コロナウィルスと隣り合わせの環境下、外食シーンには以前のようには客が戻って来ない。「(流通の流れでいえば)下流で商売する私たち飲食店はもちろん厳しいのですが、酒販店、酒蔵、そして酒米農家といった上流の皆さんも厳しい。飲食店を入口にして、酒の製造と販売に関わるさまざまなプレイヤーの課題を解決するいとぐちをみつけられないか? と考えて始めたプロジェクト」だと梅澤さんは言う。「飲食店は、生産者さんがこだわって作ったものを美味しくお客さんに提供するという役割を持ちます。私たち飲食店がダメになったら、酒蔵も、酒米農家も、酒販店も立ち行かなくなる。お客さんもその美味と、生まれた背景や文化に触れることができなくなる」。日本酒を取り巻くステークホルダーが手を取り合うことで酒の文化を守ることができるのだ。

つくり手との直結感が逆に濃くなる

まず「KURAKEN」の仕組みを紹介しておこう。参加者は“訪問” する酒蔵への入場券と酒を専用HPで購入(あわせて2000円~3000円程度。収益の半分は酒蔵に寄付される)。酒蔵見学の当日はオンライン会議ツールを利用し、現地から蔵元や杜氏が蔵の様子を、そして酒米農家が田んぼの様子を伝えてくれる。もちろん参加者はオンライン会議ツールを利用できる環境であれば場所を問わず、事前に購入した酒を味わいながら蔵を体感できる。質疑応答の時間には直接質問することも可能だ。「私も蔵元さんも驚くようなかなりマニアックな質問もあります」(梅澤さん)ということで、癒しの時間を求める人、探究心溢れる人と参加者のプロフィールも様々なようだ。

木戸泉酒造(千葉県いずみ市)の見学ツアーの際のひとこま。アメリカ人スタッフのジャスティン・ポッツさんほか、酒米農家の佐藤真吾さんにはチャットでも次々と質問が寄せられる。

オンラインで、不可能が可能になる

オンラインで酒蔵を訪問する大きなメリットは、普段は入れない場所や、公開されていない工程などを見られることだろう。特に危険も伴う仕込み段階のタンクの中、発酵の決め手となる麹を育てる空間で、杜氏がその管理に全神経を尖らせる麹室など、酒造りの奥の奥を垣間見るというのはリアルな蔵見学では不可能な体験だ。現地に足を運んでも見られないものが、むしろいつもの場所にいるからこそ見られるのだ。手探りしながらスタートした「KURAKEN」だが、オンラインで催行されるからこそ日本酒の本質に近づくことができる、という点が実に面白い。

元坂酒造(三重県多気郡大台町)では、酒の発酵を進めるタンクをはじめとして酒蔵の細部をじっくりと見学した後に、酒米の田んぼへと出かけるというストーリーが演出された。

 モチベーションは日本酒愛

とはいえ、梅澤さんもはじめからこうしたメリットがあると考えて始めたわけではない。考える前に走り出したというのが実情だった。「この新型コロナ環境下において、日本酒を扱う飲食店、販売店、そして蔵元も売り上げは激減しました。日本酒を愛する気持ちだけしかありませんが、なにかをしなければと思い立って始めました」(梅澤さん)。青息吐息を超えて、息の根が止まるかもしれないという状況の中、とにかく動かなければという気持ちが先行した。

自然栽培で酒米を育てる地元農家とコラボレーションし、意欲的な日本酒を生み出す木戸泉酒造(千葉県いずみ市)。
出典:KURAKEN ECサイト
三重県の在来品種の酒米「伊勢錦」を自然栽培で育てることにこだわり続ける元坂酒造(三重県多気郡大台町)
出典:KURAKEN ECサイト

梅澤さんの思いに共感し、現在までに見学ツアーを受け入れている酒蔵は取材時点で11社。東から「土田酒造」(群馬)、「木戸泉酒造」(千葉)、「吉田酒造店」(石川)、「山忠本家酒造」(愛知)、「元坂酒造」(三重)、「美吉野醸造」(奈良)、「秋鹿酒造」(大阪)、加えて焼酎の「奥会津蒸留所」(福島)。「義狭」(山忠本家)や「花巴」(美吉野)、「手取川」(吉田)という人気の銘柄を持つ酒蔵だ。いずれも、酒米の栽培方法(たとえば無農薬栽培や自然栽培など)や地場品種を大切にするなど、その地域の酒造りを伝承しながら進取を恐れない若い造り手たち。大変な状況だからこそ発信していこうと意気軒高だったという。

季節を変えて各蔵を“訪問”する

「KURAKEN」では、年間を通して季節ごとにそれぞれの酒蔵を紹介する。ひとつの蔵につき1回ではなく、田植え、稲刈り、酒造り…という具合に季節ごとに各酒蔵をオンラインで訪れるのだ。ハイライトはやはり秋の米の収穫後から冬にかけて行われる酒造りの期間となるだろうが、注目したいのは、鏡のような水面が豊かな緑の地平になり、やがて黄金色の海へと変化する、初夏から晩夏の田んぼの風景の移り変わりを体験できる点だ。「一般の方に蔵を案内することはあっても、米の栽培現場まで案内することは稀です」と梅澤さん。

「田んぼと同じ土で発芽した苗はタフだ」とは元坂酒造の7代目、元坂新平さんの弁。無農薬・無肥料の田んぼの土を使って苗から育てるという実験の様子を見せてくれた。稲を育苗する春先にしか見られないシーンである
提供:KURAKEN

清く良質な水を生み出す山々、青も鈍色もある空、常に形と表情を変える雲、風の音、雨の音はまさに酒が生まれるテロワールを実感できる光景。そこには生産者の姿がある。良質な酒米と水があって、良質な酒が生まれる。酒販店や飲食店はそれを守る必要がある。その光景を見れば、土地を守り育てる農家から、蔵元、販売店といった酒文化を守り広げようとする人々を通して、私たちのテーブルまでをつなぐサイクルとストーリーを感じられるだろう。

 「オンライン」の恩恵が計り知れない!

 “やってみてわかったこと”が実に多い。「KURAKEN」をスタートしたタイミングが酒造りのハイライトである季節でないからこそ、酒の本質が宿る田んぼと、酒が育まれる風景を見せることができる。酒造りに専念しなければならない秋冬シーズンではなかったからこそ、蔵元たちには準備の時間が潤沢にあったし、リモートという新しい方法に挑むこともできた。また、蔵元からこんな言葉をもらったと梅澤さんは言う。「何人か集まって蔵を見学してもらう場合、みなさんそれぞれ興味を持つところが違って、伝えたいことがあっても聞いてもらってないこともある。しかしオンラインだと説明に集中してもらえるのです。これは意外でした」。また、小さい蔵では10名も案内できないがオンラインであれば30名以上の人と同時にコミュニケーションがとれる。これもオンラインならではのメリットだ。

「伊勢錦」を無農薬有機栽培で育てている田んぼ。「ただ単に自分で米を育て、その米で酒を造るというだけの営みではなく、その米が育った環境まで酒として表現したい。味はブレるし生産性も高くないが、面白いものができる」(元坂新平さん)

“距離感フリー”な世界への「パスポート」

「KURAKEN」の参加費はクレジットカードなどを使ったオンライン決済。「蔵見学のスタート時刻の直前まで参加受付OKにできたのは、オンライン決済を採用したからこそです」(梅澤さん)。たとえば、仕事の関係で参加できるかどうかわからないが直前になって時間がとれたので参加する、というようなニーズに対しては、数日前までに申し込みをして銀行で入金するというようなオフライン的な手段はフィットしない。事前に酒を購入して当日ともに楽しむという方も、気軽に思い立ったタイミングで手間なく購入ができる。「オンライン決済にしなかったら振込の処理や参加者の管理に大変な手間がかかって、もしかしたらこの企画自体できなかったかもしれません」と梅澤さんは振り返る。クレジットカードなどを使ったオンライン決済が、運営側にも参加者にもメリットの高い、“距離感フリー”な世界への「パスポート」として機能しているかのようだ。

 「利便性」が生む原点回帰

足を運ぶことができない。だからこそわかることがある。梅澤さんの発想や思いによって、「KURAKEN」は単なるバーチャル蔵見学でもなく、チャリティやボランティア的な支援、またWEBセミナー的な座学でもないユニークなものになっている。想いの裏に、今だからこそできる日本酒文化を守り、つなげていくためのロマンと現実的なプランが両立しているからだろう。

元坂酒造の「酒屋八兵衛 山廃純米酒 伊勢錦」。地元で栽培された三重県産伊勢錦を使用。2016年に開催されたG7伊勢志摩サミットではワーキングランチで食中酒として各国首脳陣に提供された。

新しいツールがむしろ原点回帰に繋がる。今後は海外展開も検討中だという。「ニューヨーク在住の日本人の方が参加されたりしていて、なるほどオンラインだからこそできることなんだなと思いました。現在は英語での対応を進めていて、酒蔵で働いた経験のある外国人スタッフにも参加してもらってます」。これも「利便性」が生む原点回帰。そんな新しい広がりを実に気楽に体験できる、というのがいい。

 2020年中にあと10数回。季節の途中からの参加もOK

「KURAKENは2020年末までの間にあと15本程度開催したいと、各酒蔵と企画を進めています」と梅澤さん(2020年8月末時点)。新しい酒蔵見学ツアーは随時KURAKENのホームページで募集される。もちろん、どの酒蔵も季節の途中で参加しても楽しめるように設計されているので、田の風から、蔵の熱気に至るまで、いつもの場所で味わってみよう。

合わせたのはこの日届いた鳥取の夏牡蠣。伊勢の海も牡蠣の宝庫。牡蠣との相性はいい

安心できるオンライン決済とは?

今回ご紹介したKURAKENを始めとして、旅や食の分野でのオンラインによる体験はこれからますます増えるだろう。それに伴ってオンライン決済で支払うというシーンも増えることは明らかだ。

そもそもオンライン決済とは、インターネットを通じて決済処理を行う方法のこと。例えばインターネットバンキングで決済を行う「銀行決済」、携帯電話会社やインターネットプロバイダなどの通信キャリアが提供する「キャリア決済」、現金をあらかじめチャージ(前払い)して非接触ICカードやスマホを使って決済する「電子マネー」など、決済手段はこの数年で増えている。しかし、やはり国内でもっとも普及しているオンライン決済は「クレジットカード決済」だろう。

クレジットカードは海外でも一般的な決済手段として使える点が他の決済手段との大きな違いだが、中にはインターネット上での第三者による不正使用と判明した取引を負担する必要がない、カードを使用して購入した商品の破損・盗難に対する補償が充実しているなど、〈プロテクション・サービス〉を提供しているクレジットカードもある。

安心できるオンライン決済手段としての選択肢。
アメリカン・エキスプレスならではの〈プロテクション・サービス〉の詳細はこちらから。

▼KURAKEN
ECサイト
Facebookページ

TEXT:岩瀬大二、PHOTO:八田政玄 ※その他の提供元は各写真に記載

LifExpress編集部

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