アフターコロナで「人と人が触れ合う」シェアエコが廃れるは本当か?

July 31, 2020
アフターコロナで「人と人が触れ合う」シェアエコが廃れるは本当か?
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新型コロナウイルス感染拡大初期は存続が危惧されていた、シェアリングエコノミー。しかし、現在では、むしろ廃れるどころか、形態を変えつつ更に浸透していくのではないだろうかと、筆者は予測する。

「Airbnbをはじめとする、人と人との触れ合いになるシェアエコは、コロナ禍において廃れていくのではないか」という声も多かったこの数カ月、アフターコロナでシェアエコ業界は結局どうなるのか——。

コロナの実態が今以上に見えなかった2020年3月時点では、これから廃れる面も生じるのではないかという不安もあった。

ところが6月現在では、アフターコロナでは、ダメージを受けた業種はありつつも、廃れるどころが、その形は変容しつつも社会に浸透する流れは加速するのではと、筆者は予測している。

まずは、シェアエコ業界への影響の全体感を4つのケースに分けて紹介したい。

シェアエコのカテゴリ別コロナ影響表
作成:加藤こういち

1.売上減少の影響が大きいのは、民泊、観光、移動、介護のシェア

成田空港は利用者の激減を受け、4月に2つある滑走路のうちの1つを閉鎖した。
旅行、移動人口に依存する業種は、大打撃を受けている。
出典:Getty Images

旅行、移動人口の減少に伴いダメージを受ける業界については、サービスの方向転換で売り上げを補うことも難しい状況だ。

3月の国内旅行消費額は前年同月比で53.1%減、4月は訪日外国人の数は99.9%減少(観光庁作成令和2年版の「観光白書」)。この減少分に比例した売り上げが減少していると予測される。

介護施設で働く、自分のスキルを提供して働けるスキルシェアもダメージは大きい。

介護のスキルシェアは従来、介護資格を活用して数時間、1日だけ働いたり、資格がなくても身体介助以外の「レクリエーション」「話し相手」などの業務を担う。

施設内で感染者が出た場合、施設自体が閉鎖になる場合もあり、外部で単発で働いてくれる人を介護施設に気軽に呼びにくい状態だ。ここ数カ月はシェアサービス利用のメリットより警戒心が上回っていた。

介護施設で働くスキルシェア大手「スケッター」代表の鈴木亮平氏はこう語る。

「コロナ禍でも、介護業界の深刻な人手不足の課題は変わっていません。この数カ月間でも外部から派遣の人を呼ばないといけない事もあるのが、介護業界の現状。今年の3月は1000件ほどあった案件がゼロになりましたが、今後は新生活様式を取り入れつつ、6月末から案件が再開されていく予定です」

スケッターでは、コロナ禍で家族との面会制限が続く介護業界の新しい課題に対して、入居者の様子を家族に手軽に伝えるための、アルバム共有の新サービス「つなぐらむ」でクラウドファンディングをはじめている。

介護関連のシェアは、日本の介護人口の不足問題を抜本的に解決する手段として、普及への期待が非常に大きい。そこに社会課題があり続ける限り、簡単には諦めないたくましさが、スケッター代表にはある。

2.方向転換でカバーした、場所貸しのシェアと飲食バイトのスキルシェア

日本最大級のスペースシェア「スペースマーケット」は、テレワークスペースの提供に方向転換したこともあり、2020年度第1四半期は過去最大の利益を計上している(写真はイメージです)。
出典:Getty Images

「集団イベント」「飲食での単発バイト」「対面型スキルシェア」関連のサービスも同様にダメージを受けるのではないかと予測されたが、ふたを開けてみると現状、サービスの柔軟な変更でダメージを回避している。

シェアエコ大手3社の事例を紹介したい。

実際に、日本最大級のスペースシェア「スペースマーケット」は、集団イベントではなく、テレワークスペースやオフィスの代替スペースというマーケティングの方向転換もあり、2020年度第1四半期は、前年同期を超える流通総額に達し、利益も過去最大に増加(2020年5月の決算説明資料より)。

飲食店の案件が半分以上を占めていた、日本最大級の単発バイトのシェアサービス「タイミー」も、飲食店の案件から切り替え。在宅ワークや配達、スーパーなど、コロナ禍でより一層人材の需要が増えた分野にシフトした。

タイミーによると、コロナ前の2020年2月の会員数100万人程度から、6月時点で会員数135万人へ増加、登録店舗も8000店舗から、1万9000店舗まで伸ばした

オンラインも可へルール変更

会員数44万人の日本最大級の学びのスキルシェア「ストアカ」は、「対面限定」サービスから「オンライン」を可能へとルールを変更。新しくオンラインの市場を攻め始めた。

6月現在ではオフライン、オンラインの両方の良さを使い分けて利用できるサービスになっている。

上記3社のように、コロナの影響が元々は大きいはずだったかった業態でも、「オンライン化」「マッチングカテゴリの変更」「供給サービスの活用法の変更」など、臨機応変な対応でカバーしたところは、実績を伸ばしている

今後は元々の需要が回復していく可能性も十分ある。結果的に、今回コロナで新しい市場創出ができた分、長期的には売上を伸ばすと言えるのではないだろうか。

3. 接触リスクよりメリットが上回る、家事シェア、モノシェア、シェアハウス

家事シェア、モノシェア、シェアハウスなどは、
得られる恩恵が感染リスクよりも評価されているようだ。
出典:Shutterstock

ある程度コロナの性質が見えてきた現状、「3密」を避けることに多くの人が依然としてかなり気を使っている。しかしそんな中でも、モノを通じた接触による感染リスクへの警戒感はだいぶ減ってきている。

日本最大級のモノのシェア「メルカリ」も、コロナ前より32%も株価は上昇(2020年2月19日と6月19日で比較)。モノを個人間でシェアする接触リスクより、コロナ不況で節約、副収入になることや非対面であることを、市場はプラス材料として評価しているのではないだろうか。

シェアハウス型マンションも大手2社(計60棟以上)のリスクは現状では高くはなく、安めの家賃や人とのつながりを魅力に感じた人が5〜6月も内覧をはじめているという。

例えばあるシェアハウス型マンション大手2社でいくと、入居者が合計4000人程度いる中で、感染者は入居者への公開情報によると、1名のみ。他の住人に感染したとの報告はないという結果だ( 感染者物件の入居者からの情報 5月末時点)。

東京での感染率0.04%(※日経ビジュアルデータの6月より)と比べて、シェアハウス型マンション内の感染率は0.025%で下回っている。

「法人管理ゆえ、共同空間の利用ルールが厳しい」「法人側が日々清掃し、消毒液を設置している」など、必要な措置が確実に実施される法人管理型のメリットも効いた可能性がある。

とはいえこの結果は、あくまで厳格な措置が取られ、住民の感染防止の努力があっての結果。個人のシェアハウスで、住人の対策意識が低いようなケースは、この限りではないだろう。

4. 成長が加速する、非対面型スキルシェアと地方移住や配達のシェア

テレワークをきっかけに地方移住の需要が増加している中、地方移住のハードルを下げるADDressのようなサービスが注目を集めている。
出典:Getty Images

もともとオンラインで取引するサービスでは、コロナ禍での新しい収入源を求めた人が、登録に殺到した。

例えば、会員数150万人の日本最大級の非対面型スキルシェア「ココナラ」では、4~5月は1日当たりのサービス出品数が、2019年12月と比較して2倍になった。

また、登録数の増加人数の伸長率は過去最大(CMオンエア期を除く)を記録したという。(今年1月末までの会員登録数と2020年5末時点の会員登録数の比較では、伸長率が過去最大に)。

マッチングサービスは、立地の関係ないオンラインと相性がいい。今後、シェアエコの潜在的な市場規模の拡充という意味では、非対面スキルシェアの伸び代への期待が大きいのは、間違いない。

また、月額4万円で多拠点住み放題サービスを提供するADDressは、テレワークをきっかけに地方移住したい人たちの受け皿になっている。都市と地方の関係人口を作り、空き家問題もまとめて解決する注目のサービスだ。

アフターコロナの暮らし方として、連日のようにTVメディアで露出が続いている。

従来、地方移住のために、

  1. 地方で空き家を見つける
  2. リノベーションする
  3. 地域住人とつながる

いう3つのハードルがあった。

それらをADDressを利用することで全てカバーできるため、地方移住の初心者でも、気軽に移住ができる環境になっている。5月にはホテル、旅館、ゲストハウスとも提携を始めると発表。コロナ禍において需要側と供給側の両方のニーズが増えたことが、成長加速につながっているようだ。

アフターコロナでシェアエコは「生活必需品」になっていく

出典:シェアリングエコノミー協会

直近数カ月はシェアエコは業種別にダメージはあったものの、コロナ不況が今後数年続くことで、シェアエコの各種サービスは、「知る人ぞ知るサービス」から「生活必需品」へと、社会の受け止めは変わってくるのではないだろうか。

なぜなら、コロナ不況で今後、法人経済や公共サービスの弱体化が予想される。賃金減少、サービス自体の縮小、人材不足などだ。

こうした弱体化によって発生する社会課題に対して、個人経済としてのシェアエコ(副収入・格安外注、即時的な人材確保など)が、そのニーズの受け皿になり得るからだ。

「法人経済がすでに満たしていた需要」の受け皿になる以上、シェアエコは「あったら便利」ではなく、「生活必需品」という捉え方になるだろうというのが筆者の見立てだ。

実際に、コロナ禍で仕事を失った際の緊急のセーフティネット、雇用の受け皿として「UberEATS配達員」が一定の機能を果たしていることについては、社会的な認知も広がりつつある。

他にも、「残業代がでなくなった分を稼がないといけない」「もっと家賃を下げないといけない」「外注費を削らないといけない」などの課題解決は、シェアサービスが全てカバーできる領域。

今後、コロナをきっかけとした不況が続いても、シェアエコという手段を知っていれば、意外に低コストで暮らせたり、新しい収入源を作りやすい環境が整ってきている。

逆に言えば、そういった手段を知らないと今後は、むしろ貧困に陥るリスクすら高まるだろう。


(文・加藤こういち)

Featured Image:Getty Images
提供元:Business Insider Japan
転載元:アフターコロナで「人と人が触れ合う」シェアエコが廃れるは本当か?

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