カード支払いは挿入からタップへ—アメリカクレジットカード事情

May 15, 2019
カード支払いは挿入からタップへ—アメリカクレジットカード事情
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米国ではレジでの支払いの際にカードをスワイプすることが多かったが、3年ほど前からはカードを挿入、つまりカードリーダーに差し込んですぐに抜く方式が普及するようになっていた。そして今度はニューヨーク地下鉄の強力な影響もあり、タップすることに慣れなくてはいけなくなりそうだ。

来年から、ニューヨーク都市圏交通公社(MTA)は米国内の他の交通システム同様、自動改札機でクレジットカードかデビットカードをタップする、新しい決済システムを導入することとしており、これに伴い従来のメトロカードに別れを告げる。米国の大手金融機関はこれに備え、新システムで使用可能な非接触型(コンタクトレス)決済機能を搭載したカードの発行を開始している。

「クレジットカード業界と金融業界が、私たちと並行して取り組みを行っている」と、MTA社長Patrick Foye氏は語る。「米国では交通だけでなくさまざまな分野でタップ式決済が使われるようになるだろう」

VISAは米国内で発行されたVISAブランドカード1億枚が、2019年末までに非接触型決済機能付きに切り替わると予測している。アメリカン・エキスプレスやキャピタルワンフィナンシャルなど一部のカード発行会社は、すでに切り替えを開始している。キャピタルワンがQuicksilver、SavorおよびVentureの名称で発行するカードでは、すでに「タップ払い」が可能になっている。最近刷新されたアメリカン・エキスプレスのゴールドカードも同様だ。

「お客様が急いでおり、より少額の場合、また頻繁に使用する場合には、非接触型機能付きカードで支払いを済ませるケースが増えている」と、キャピタルワンのRewards and Spend Strategy担当マネジングバイスプレジデント、Manan Mahadevia氏は語る。

米国においてICチップ付きカードへの移行は、数か月にわたり消費者の不満をかき立ててきた。というのも、レジでの支払いに前より時間がかかるようになり、この新しい技術に対応するためのトレーニングを店員がほとんど受けていなかったからだ。加盟店にとってもこの移行は困難だった。長くかかる機器認定プロセスを我慢する間、不正による損失が増えたことに悩まされるようになったのだ。

非接触型決済機能付きカードを採用する際は、このような問題は起こらないはずだ。米国ではウェブ以外の取引のおよそ半分は、すでに「タップして終わり」の支払いが可能な店舗で決済されている。さらに、ICチップ付きカードを挿入しての決済は10秒から39秒かかるのに比べ、コンタクトレス決済は2秒もかからない。

「数年も経てば、カードの挿入は大昔のやり方のように感じるようになるだろう」と、トロント・ドミニオン銀行で米国カード・加盟店サービス部門の責任者を務める Julie Pukas氏は言う。「駅やその周辺の加盟店でこうしたカードの利用が始まれば、お客様はハードルを感じることなく使うことができ、支払いが早く済むことも気に入ると思う」

解決すべき問題は他にもある。米国における上位100社の小売業者のうち、30%がコンタクトレス決済を認めていない。ウォルマートもその1つだ。

自社店舗での非接触型機能付きカード利用に消極的な小売業者もあった。これを認めれば、あらゆる形式のモバイル決済を認めなければならないからだ。この数か月、小売業者は規制当局や議員に対し、モバイル決済やトークン化技術について陳情を行ってきた。トークン化技術とは、VISAやMastercardがモバイル決済時のセキュリティー強化を目的として開発したもので、小売店側によれば、この新しい技術によって、より安価な決済手段であるデビットカード支払いが利用できなくなるという。

しかし金融機関にとっては、米国中の交通網がタップ払いシステムに移行するという追い風により、変化が加速するだろう。利益にも好影響がもたらされる。VISAが委託しA.T.カーニーが行った調査のレポートによれば、コンタクトレス決済に移行することで、金融機関は向こう5年間で24億ドルの利益増と222億ドル相当の経費削減を実現することができるという。これまで現金だった決済がコンタクトレス決済に置き換わるというのがその理由だ。

「カード発行会社の観点で言えば、実際に改札で使うことができるのが非接触型決済機能付きカードだけだという事実が、このカードの価値を高めている」と、VISAの消費者向け商品担当バイスプレジデント、Dan Sanford氏は語る。Sanford氏によれば、カード発行会社が次のように話すのをしばしば耳にするという。「カード保有者が改札で非接触型決済機能付きカードしか使えないのなら、その取り組みに参加しないわけにはいかない」

この記事はBloombergのJennifer Suraneが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。

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