Uber元社員がレンタルキッチン事業に参入

December 23, 2019
Uber元社員がレンタルキッチン事業に参入
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カリフォルニア州オークランド。迷路のように錯綜するコンクリートの高速道路の高架下にある、小さな業務用キッチンは何も特筆すべきことはないように見える。ここで働くUber Technologiesの元社員たちがこのロケーションを選んだ理由は(ベイエリアと比較して)賃料が安いこと、そしてUber Eatsをはじめとするアプリから注文する近隣の客に料理をデリバリーするドライバーがピックアップするのに便利な場所にあるからだ。

実店舗のエリア外でもフードの提供が可能になったことで、さらに高まる客の需要に応えようとするレストランに対してキッチンスペースをレンタルするサービスは近年競争が激化している。彼らが立ち上げたスタートアップ企業Virtual Kitchenもこのビジネスに新規参入した会社の一つだ。

この会社で注目すべきなのは、創業者が元Uber社員だということ。Uberの共同創始者で元CEOのTravis Kalanick氏が同分野でのライバル企業をすでに経営しており、またUber本体もクラウドキッチン(飲食スペースを持たず、また持ち帰りでの商品提供も行わないデリバリー専門業者)のビジネスモデルを検証していることから、2018年にはUberの元CEOと現職CEOとの関係に緊張が生まれたのも事実だ。

Virtual KitchenはAndreessen Horowitz・Base10 Partnersを含むベンチャーキャピタル各社から1,500万ドル(約16.5億円)の投資を受けたことを2019月11月に発表している。Uber Eatsの商品部長Stephen Chau氏も以前、Sequoia Capitalから得た資金を投資している。

レンタルキッチンビジネスの実験を中断しているUberはVirtual Kitchenに投資はしていないが、さらに競争が激化する可能性については懸念していないという。アメリカとカナダのUber EatsのトップであるJanelle Sallenave氏は「お客様の選択肢を増やしてくれる新サービスの登場は、敵味方に関係なくこのビジネスを営む私たち全員にとって素晴らしいことなのです」と述べている。

Virtual Kitchenは、地元のレストランチェーンや小規模な店舗を対象にすることで、Kalanick氏のクラウドキッチンやその他多くの同業他社との差別化を図ろうとしている。地元であるサンフランシスコのベイエリアではすでに、Poki Time・Big Chef Tom’s Belly Burgersなどのレストランやインド系レストランチェーンのDosaと契約を結んでいる。Dosaのオーナー、Anjan Mitra氏はオンラインデリバリーアプリの客に料理を提供するためVirtual Kitchenの施設をレンタルすることは同社のビジネスにとって「経済的な正当性がある」と述べた。

Virtual Kitchenを創業したのは、Ken Chong氏とMatt Sawchuk氏。2018年にUberを辞めた料理人のAndro Radonich氏を加えたチームで同社をローンチした。前職ではChong氏はUber Marketplaceの商品チームを牽引し、Sawchuk氏はUber Eatsを指揮していた。2人はフードデリバリーアプリの登場によって仕事量の増加に苦しむレストランの状況を目の当たりにしたことをきっかけに、自分たちでスタートアップを創業することに思い至ったという。ベンチャーキャピタルのBase10 Partnersの創始者でVirtual Kitchenの取締役を務めるAde Ajao氏は、近年アジアや南アメリカで同様のビジネスが急増していることは、このビジネスモデルがアメリカでも成功できることの証明であると述べている。

この業界のスタートアップにとってのリスクは、Kalanick氏が自身の事業に多額の資金を投入し競合他社である自分たちを圧倒するかもしれないということだ。Bloomberg Billionaires IndexによるとKalanick氏の資産は34億ドルで、さらに今年はサウジアラビアの政府系ファンドから4億ドルの資金を調達しているが、Kalanick氏の広報担当者からコメントを得ることはできなかった。

Uberは2018年にパリで業務用のキッチン設備を備えたレンタルスペース事業の実験を行った。しかしUberの広報担当者によると、多額の資本が必要であることから同社はこのビジネスモデルの継続は計画していないという。Uberの決算は2019年第三四半期も引き続き振るわず、2021年第四四半期までに修正した業績予測を達成するという経営者の約束にも関わらず、株価にもマイナスの影響が出ている。

自分の注文した食べ物が実際のレストランではなくVirtual Kitchenから届いたかどうかを客が知ることはない。また同社はUber Eats以外とも提携している。同社によると、アメリカのあらゆる大手フードデリバリーサービスのドライバーたちがこのキッチンにピックアップに来ると言う。

現在ベイエリアに複数のキッチンを運営するVirtual Kitchenは、今後さらに12カ所をオープンする予定だという。CEOのChong氏は「我々はできるだけ早くこのビジネスを確立し、知見を積んでいきたいと思っています。弊社はアメリカ全土のみならず世界を視野に入れています」と述べた。

この記事はBloombergのLizette Chapmanが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願いいたします。

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