日本の和牛、「世界征服」へ

March 15, 2019
日本の和牛、「世界征服」へ
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日本の山々に抱かれた緑豊かな草原に、光沢のある黒毛牛の群れが満足げに歩き回っている。この地域の和牛ブランド、飛騨牛の典型的な光景だ。

口に入れるととろけるような柔らかさと霜降りのサシで知られる牛肉だが、日本での消費が落ち込んでおり、生産者は代わりに海外での売り上げを上げようともくろんでいる。

飛騨牛ブランドはまだ神戸牛ほど認知されていないかもしれない。しかし和牛の国際的な注目度は全体的に上昇中だ。

輸出額は過去5年間で200パーセント以上増加しており、香港が現在、最も大きな市場となっている。

In Japan the value of wagyu beef exports has risen more than 200 percent in the last five years -- H...

岐阜県高山市から1時間ほどのところに、伝統的な木造りの家が観光客に人気の町がある。この町では、地元自治体から貸し出された250ヘクタール(約2.5平方キロ)の区画の中に、さまざまな農家が所有する牛数十頭が放し飼いされている。

牛は暖かい夏の時期は穏やかな緑の中で過ごし、冬がやってくると暖かい牛小屋へと戻ってくる。

そこで子牛を産む。牛の血統の「純度」を保つために注意深く繁殖させたたまものだ。

「良い遺伝子は必ず質の良い肉になります。そのため、血統を守ることは重要です」と話すのは、高山市の農政部畜産課課長、丸山浩一氏だ。

「品質は餌からも来ています」と丸山氏は加えた。

和牛として繁殖された牛の餌は1日10キロのわらで、これが飛騨牛肉の外見と味の特徴でもある霜降りのサシを作る。

牛の健康状態に常に気を配る

それぞれの牛は生後30カ月間、継続的な健康管理の下、大事に甘やかされてストレスをかけないよう育てられる。

世界唯一とされるシステムの電子タグが付けられ、少なくとも祖父母の代まで家系図をさかのぼることができるようになっている。

中には、冬の間は牛にコートをかけたり、ビールを与えたり、クラシック音楽を聞かせたりして甘やかす農家もいる。

高山市の生産者はそこまではしないものの、かといって隙があるわけではない。

「休みはまったくありません。1日24時間、1年365日、牛の世話をしています」地元で企画された和牛の大会でこう話すのは、溝端宗一氏だ。

列をなした牛が審査員の前を歩き、体重や寸法が測定される。5年に1度開催される全国大会に出場する牛を決めるのだ。

Wagyu cultivation dates back only a few decades with most Japanese black cattle -- the breed that d...

2002年の大会では高山の飛騨牛が優勝した。まだ歴史の浅い飛騨牛ブランドにはこの勝利が今も誇りだ。

和牛の畜産はわずか20~30年しか経っておらず、大半を占める黒毛和牛のほとんどは80年前に生まれた1頭の牛から繁殖したものだ。

「牛肉の輸入が自由化された後、輸入品との差別化を図るために、非常に質の高い和牛に注力することにしました」と話すのは、農林水産省の職員、神廣創太氏だ。

また、牛海綿状脳症(BSE)への不安から2000年ごろから牛肉の消費量が減っていること、農家の減少、既存の生産者の高齢化や後継者不足などにも生産者たちは悩まされてきた。

世界で評価される和牛

農林水産省は2013年、牛肉の年間輸出額を2019年までに250億円とする新たな目標を立てた。

年間輸出額は戦略策定時の50億円から大幅に増加し、2018年の時点ですでに247億円に達しており、目標値は達成できそうだ。

輸出額は、和牛が目が飛び出るほど高価であるにもかかわらず爆発的に増加した。最も貴重な部位の価格は1キロあたり1万3700円ほどになる。

高山市では、生産者が2017年に販売した牛肉のうち輸出はわずか5パーセント、43トンにすぎないが、それでもすでに前年から倍増している。

市内には、厳格な規則を順守する食肉処理場がある。欧州連合向けに輸出する食肉を取り扱う許可を持っている、国内でわずか4カ所の食肉処理施設の1つだ。

また、イスラム教国へ輸出できるよう食肉処理場にハラール認証を取る生産者も増えており、日本全国で合計200ほどが認証を受けている。

牛の解体後、枝肉はランクづけされたカードを付けられ、ガラスの向こう側に陳列されてセリにかけられる。飛騨ミート農業協同組合連合会の小林光士常務理事によるとこのランクは、肉の霜降り具合、色、質感、脂の質に基づく精密なシステムによって付けられている。

ミシュランの星を獲得したレストランを東京に持つフランス人シェフのLionel Beccat氏は、「日本人は何よりも、牛の血と筋肉を減らして脂肪を増やそうとします。私たち(欧米人)とは正反対」と話す。

「牛肉は極上で、口の中でとろけます。牛によってさまざまな風味があります。フローラルなものもあれば、ナッツっぽい風味もあるし、スパイシーなものもあります」とBeccat氏は加えた。

「なので牛肉はそのまま味わうことができます。グリルするだけでいいんです。とても日本らしい。まるで刺身みたいですね」

この記事はDigital JournalからNewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。

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