身につけることが途上国支援につながる。アフリカ布を介して生まれる新しい出会い

August 31, 2020
身につけることが途上国支援につながる。アフリカ布を介して生まれる新しい出会い
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西アフリカ・ベナンで人々が身にまとう色鮮やかな布「パーニュ」。1800年代に多くの植民地を支配していたオランダが、インドネシアのろうけつ染め(バティック)をヒントに生産したワックスプリントが発祥ともいわれている。時代とともに、よりアフリカらしい柄へと変化を遂げ、現在では「アフリカ布」として定着している。

コットン100%。丈夫で鮮やかな布を使って、浴衣など日本向け商品をベナンの職人とともに作る女性がいる。「Chérie COCO(シェリーココ)」代表の川口莉穂さんだ。現地の職人と協業する理由や、見つめている地平を聞いた。

ベナンで出逢った親子から知った就労の厳しさ

西アフリカ、ガーナの東に位置するベナン共和国。赤道直下のこの国に、川口莉穂さんはJICA青年海外協力隊として赴いた。活動内容は「学校保健」。手洗い指導やマラリア感染予防の啓蒙活動だ。手洗いしようにも水道がない。マラリアが蚊を媒介に感染することを知らない。現実に圧倒されながらも、現地で学びながら活動を続けていた。

そんな日々の小さな楽しみは、職場へ行く道で出会う少女ベルアンジュと、小さな男の子メメとのひと時。人懐こい笑顔で話しかけるメメと親しくなり、やがて彼の母親とも言葉を交わすようになった。
「そこでメメの母がシングルマザーで就労できておらず、ベルアンジュの家やご近所の方にご飯やおかずを分けてもらって生活していることを知ったのです。でもここで、私がお金や食事をあげても一時しのぎにしかならない。だから彼女自身がお金を稼げる手段を一緒に考え始めたのです。」

ベナンの雇用機会は非常に厳しい。義務教育が小学校までのため、中高に進学する人も少なく、大学進学率も非常に低い。大学を卒業しても就職できる企業が限られているため、やむなくバイクタクシーなどで日銭を稼ぐという例も後を絶たない。

「独立しようにも元手資金がなかったり、そもそものノウハウもありません。メメの母は、職業訓練校で縫製の技術を身につけていることは分かりましたが、就職できるテーラーもなく、独立するにも資金がない。その日のごはんの材料すら買えないのですから」

アフリカ布「パーニュ」と現地のアパレル産業構造

提供:シェリーココ
提供:シェリーココ

街中にはテーラーがあふれており、そのほかにも自宅で内職のように仕立てを請け負う個人店もある。ミシンがあっても仕事にあぶれている人は沢山いるのだという。

「メメの母の仕事をつくるには、縫製技術を使う仕事以外に考えられない。ただ現地向けのテーラーが供給過多なのは明らかでした。だったら最初からマーケットを日本に定めたほうがいいと思いました」

次はミシン資金だ。JICAには職業支援の制度もあるが、川口さんはクラウドファンディングを選択した。

「この支援金制度は書類審査で(通るかが)決まりますが、それだけだと商品を買うお客さんを想定できません。集客や宣伝も兼ねて、クラウドファンディングという仕組みを利用したほうがいいと、彼女に仕組みを説明して始めました」

日本向けに選んだ商材は「浴衣」。パーニュの中には浴衣でも違和感のない布が多々あった。縫製も直線縫いがほとんどで、比較的簡単にできる。

ミシン(2台分)で10万円、浴衣の制作費として10万円、輸送費が5万円。ほか手数料として30万円に設定したクラウドファンディングだが、最終的には73万円が集まり、アトリエを構えることもできた。リターン品として60着の浴衣を仕立てたことがスタートとなり、青年海外協力隊の任期を終えた川口さんは、一時帰国後、同社の代表としてベナンに戻っていった。以来、ベナンと日本を行き来する生活が続いている。

提供:シェリーココ

「エシカルだから買う」のではなく、「かわいい」から入ってほしい

オンラインショップをメインに、年に数回のポップアップストアでファンを広げてきた。現在は浴衣だけではなく、スカートやフレアパンツ、ネクタイやワイシャツ、ハーフパンツ、小物など幅広いナインナップを広げるアパレルメーカーへと成長した。「シェリーココ」のアトリエスタッフは5名、提携テーラーは5社に広がっている。仲良くなった少女のベルアンジュはプロジェクト当初から川口さんやメメ母子をサポートし、今では現地マネジャーとしてアトリエスタッフや提携テーラーを取りまとめている。

スカート、ワイドパンツからポーチまで商品の種類もさまざまだ

「自社アトリエのスタッフは女性のみ。縫製の技術を持っていて、私の細かい要求にもこたえてくれる真面目さや粘り強さがある人を採用しています。提携アトリエは基本的に技術力で選んでいます。ベナンのテーラーは1人の親方に5~10人の弟子がいるような構造ですが、シェリーココの製品はすべて親方に作ってもらうように依頼しています」

布の選択やパターンは川口さん自らが決めている。「いわゆるアフリカ布!という図柄は選ばず、日本人に合うものを選びます。サンプルを買って色落ちしないかを確かめ、水洗いしてから縫製。パターンは…私、服飾の学校も出ていないのでできない。彼らも普段はパターンを使っていない…(笑)。だから現物を持って行って『こういうのがほしい』って依頼するんです。あとはざっくり『ふわっと広がる巻きスカートがほしい』とか。何度も試作・試着をして調整しながら作っています。メンズ製品は夫に聞いたり。ネクタイは一日講習で習いに行きました」

提供:シェリーココ

現地の職人には出来高制で支払いをしている。高品質を求める分、制作料も現地平均のおよそ1.5倍を支払う。ベナン郊外の小さな町で、着実に雇用機会を増やしているが、川口さん自身は「フェアトレード」や「エシカル」という言葉を前面に出さない。それはなぜだろう。
「私は『商品がいいな、かわいいな』というところから入ってほしいなと思っています。蓋を開けたら実はアフリカで作られていたという気づきが理想。途上国支援だから、エシカルだから、フェアトレードだから買うというのではなく、商品を気に入って購入してくれた人が、背後のストーリーも知ってくれると、長く使ってくれる。そうしたビジネスとして成立させたいです」

持続的な企業に成長し、ベナン人たちが自立できるようなサポートを

川口さんには忘れられない思い出がある。シェリーココを始めて数カ月経った頃、メメの母に食事に招待されたのだ。
「ベナンの主食はトウモロコシの粉を練ったもので、ソースつけて食べるのが基本です。私が初めて会ったとき、メメの親子は主食に具のないソースとか、それすらなくて唐辛子をすりつぶしたものをつけて食べていたんです。でも自宅の食事に招待されたときには、大きなお魚だったかお肉がごろっと入っていたんです。ああ、おかずが入ってる!って」
メメは小学3年生になり、私立小学校できちんとした教育を受けられる生活を送っている。

シェリーココの事業の柱は、ベナンの女性たちの生活や自立を支援するものだ。
「持続可能ということも大きなキーワードです。実は数年前、日本で実店舗を持とうと目標を立て生産量を増やしたことがあります。結果私も現地スタッフも朝も晩も働き続け、精神的にも追い詰められました。そのときに『これは自分が目指すものではない』と計画を白紙にしたんです。
よく、『ベナン以外の国などに拡大する気持ちは?』とも聞かれますが、その予定はありません。私はベナンの、もっといえばアジョウンという小さな町にいる、あの人たちのことが好きなんです。だから(地域を)拡大するというよりも、ものづくり以外でもより深くベナンの人たちと関わっていきたいと思っています」

出典:クラウドファンディングサイト公式ページ

今夏、シェリーココはベナンの教育支援プロジェクト「CHILDREN EDUC BENIN」と協同して、オリジナルのアフリカ布柄商品を製作し、売り上げの一部を教育支援のために寄付する。
「ベナンで教育活動をしている日本人女性と知り合ったことから始まったプロジェクトです。本来興味があった子どもの教育支援がこのような形でできることが嬉しい。ゆくゆくは職業訓練学校のような場の提供までするのが夢です」

金銭や物資の支援だけではない途上国支援。カラフルな色彩のシェリーココ製品には、そんな熱い思いも込められている。

安心かつ快適なキャッシュレスライフで広がる可能性

「シェリーココ」をはじめとして、ものづくり系のベンチャーにとってオンラインショップとオンライン決済はさまざまな可能性を広げてくれる。
多様な決済手段があるなか、特に「クレジットカード決済」には多くのメリットがある。たとえば、不正使用を探知するシステムを導入し、万一不正使用された場合も補償が充実している〈不正プロテクション〉、ウェブサイトやスマートフォンのアプリで、いつでもどこでも最新のカード利用状況を確認できるオンライン・サービスなどを備えたクレジットカードを選択すれば、安心かつ快適なキャッシュレスライフを送ることができる。

快適なオンライン決済であなたの可能性を広げよう。

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▼Chérie COCO(シェリーココ)
公式HP
FBページ

TEXT:柿本礼子、PHOTO:sono ※その他の提供元は各写真に記載

LifExpress編集部

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