伝わりづらい今こそ身につけたいコーチング・スキル「GROWモデル」実践ガイド

October 29, 2020
伝わりづらい今こそ身につけたいコーチング・スキル「GROWモデル」実践ガイド
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時差出勤、シフト出勤、リモートワークなど、新型コロナウイルス前後の勤務スタイルは大きく様変わりしました。

その影響もあり、多くの職場で後輩・部下とじっくりと会話する時間も少なくなってきています。そうなると、どうしても指示と確認に終始しがちになります。彼らのモチベーションに不安を感じる管理職の方は少なくないでしょう。

「どんな気持ちでやってくれているのだろう?」「これ以上目標達成に向けてがんばれ、とは言えないな…」など、顔を合わせないとどうしても言いたいことも言い得ない、そんなジレンマの声も聞きます。

実際、指示だけでは部下が思ったようにモチベーション高く動いてくれないものです。

今こそ「指示型」から「コーチング型」に

今回は、コロナ禍の今こそリーダーが覚えておきたい実践方法として、コーチングの技法「GROWモデル」を紹介します。

私が管理職研修でも紹介するメソッドで、メンバーの主体性を引き出すことができると好評を得ているものです。

ミスを繰り返す後輩、目標達成が厳しい後輩、残業をしてしまいがちな部下、チームワークがとれない部下・・・。さまざまな問題解決に役立つ実践メソッドですので、ぜひ役立ててみてください。

目次

主体性を引き出すカギは「自己決定感」
できるリーダーが実践する「GROWモデル」
コーチングを行なうときの注意点

主体性を引き出すカギは「自己決定感」

パズルのピースを寄せ集める人々
Image: GoodStudio/Shutterstock.com

後輩や部下から質問を受けたとき、先に答えを言ってあげたくなりませんか? 特に時間がないときこそ、そうなりがちです。

でも、答えを先に言うのは得策ではありません。

自主性を促すなら「自分が考えて決めた」といった感覚が極めて重要だからです。この感覚を「自己決定感」と言います。

「内発的動機づけ」研究の第一人者であるロチェスター大学のエドワード・デシ教授により提唱されたもので、自己決定感の有無は、「失敗した時」に違いが出るといった研究結果があります。

何かがうまくいかなかった場合、自己決定感があると「なぜうまくいかなかったのか」「どうすればうまくいくのか」といったように、“改善”に結びつきます。

一方、自己決定感がないと、「難しかった」「面白くない」といった負の感情だけが残るのです。

なので、細かく指示するよりも、後輩・部下自身が「自分で決めた」と思ってもらう対話が、部下の主体性を引き出す上では不可欠なのです。

できるリーダーが実践する「GROWモデル」

牽引する上司と部下
Image: fourSage/Shutterstock.com

後輩・部下の自己決定感を引き出す、とっておきの方法を紹介しましょう。それが「GROWモデル」です。

GROWモデルとは、「気づきを与え、答えを導く」ためのコーチングの技法のこと。これを実践すると、あらゆるシーンで彼らに気づきを促すことができます。

たとえば、あなた自身が自動車ディーラーの営業だとしたら、後輩や部下への声がけは次のような流れで行なうといいでしょう。

※A=あなた、B=後輩・部下

● G:Goal(目的を明確にする)

A:「目標達成に向けて一緒に考えない?」
B:「はい、お願いします」

● R:Reality(現状を把握する)

A:「状況を教えてもらっていい?」
B:「全顧客に訪問しました。でも需要がないのです」

● R:Resource(何があれば解決するのかを考える)

A:「何があれば解決する?」
B:「新規開拓しかないと思います」

※ここで、「他にはない?」「どうして?」と尋ね続けることで、より深く考えられる機会にする。

● O:Options(対策の選択肢を出す)

A:「いくつか対策案を出してみよう?」
B:「ご紹介をいただく、法人顧客の開拓をする、といったところでしょうか」

※ここでも、「他にはない?」と尋ね続けることで、さらなる案を出すように促す。

B:「他ですか…。そうだ、運転教習所に行く手があるかも。ハイブリッド、SUVなど、多くの車種があることは教習所にとって優位性になるかも」

● W:Will(本人の意志にする)

A:「やってみたい対策はある?」
B:「一度、教習所への営業をやってみたいです」
A:「じゃあ、具体的なスケジュールを考えてみようか?」

上記のように、最後は「これをやってみたい」と部下の意志に導きます

コーチングを行なうときの注意点

上司のサポート
Image: Zenzen/Shutterstock.com

コーチングを行なう際、注意することが2つあります。

我慢して相手の答えを待つ

「たとえばさ…」と誘導をしてしまうと、部下はそちらに流されます。そうなると、自己決定感が損なわれてしまい、本当のWillに導けなくなるのです。

先輩・上司であるあなたは、我慢して待つことが大事。すると、上司も考えつかない妙案が飛び出すことも少なくないのです。

先程の自動車教習所へのアプローチもそう。おそらく、先輩・上司の立場であるあなたが考えてもいなかった案かもしれません。これがコーチングの醍醐味なのです。

とはいえ、こんな不安があるかもしれません。「それでは時間がかかってしまうのでは?」

逆です。むしろ短時間で結論に至ります。普段15分程度かかっているなら、10分程度でできるでしょう。なぜなら、会話に無駄がなくなるからです。

フォローアップを忘れない

コーチングを行なった後、きちんとフォローをしましょう。

よかれと思ってあまり関与しないようにしている、という上司もいますが、それでは危険です。彼らから「自分には関心がないんだ」と思われても仕方がありません。

定期的に共有の機会を持ってください。後輩や部下にとって、うまくいかなかったときに「知らなかった」と言われることほどキツイものはありません。

そのためにも、先輩や上司は、常に部下に対してどんなことができるかを考えておくことがカギなのです。


今回は、メンバーの主体性を引き出すGROWモデルを紹介しました。

今までの指導法とは明らかに異なる手法が必要となってきていますが、何度か繰り返しやってるうちにコツがつかめてくるでしょう。

オンラインでもリアルでも、どちらのケースでも効果的なメソッドです。今回の記事が、マネジメントの課題を克服する一助になれば幸いです。

文:伊庭正康

伊庭正康 株式会社 らしさラボ 代表取締役
リクルートグループ入社。残業レスで営業とマネジャーの両部門で累計40回以上の表彰を受賞。その後、部長、社内ベンチャーの代表を歴任。2011年、株式会社 らしさラボ設立。リーダー、営業力、時間管理など、年間200回以上の研修に登壇。リピート率は9割以上。現在は、Web(ZoomやTeamsなど)を活用した研修も好評。近著に『30歳までに読んでおきたい 会社でエリートになれるビジネスマナー&スキルWiki(徳間書店)』『トップ3%の人は、「これ」を必ずやっている 上司と組織を動かす「フォロワーシップ」(PHP研究所)』『できるリーダーは、「これ」しかやらない メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ (PHP研究所)』『メンバーが勝手に動く最高のチームをつくる プレイングマネジャーの基本(かんき出版)』他多数の書籍がある。

Image: Shutterstock
提供元:lifehacker[日本版]
転載元:伝わりづらい今こそ身につけたいコーチング・スキル「GROWモデル」実践ガイド

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