「日本の”現金信仰”を変えていく」QRコード決済Origamiの取り組み

April 24, 2019
「日本の”現金信仰”を変えていく」QRコード決済Origamiの取り組み
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アジアのほとんどの地域では、タクシー料金、レストランでの食事、店での買い物などは、スマートフォンで読み取れるバーコードを使って支払うことができる。ただし日本を除いては、だ。いまだに日本では現金が幅を利かせている。日本のモバイル決済市場を独占しようと大手インターネット企業数社がしのぎを削る中、東京に拠点を置くある新興企業は、同社のQRコード(二次元コード)アプリにより、大手各社に対抗し競争に勝てるチャンスがあると話す。

株式会社Origamiは2015年後半に、他社に先駆けてQRコードでの決済サービスを開始し、ファストフードチェーンのKFCを展開する日本KFCホールディングス、都内最大のタクシー会社の日本交通、コンビニエンスストア運営のローソンと契約を結んできた。Origamiは2018年9月、事業の全国展開に向けて66.6億円を調達しており、今後従業員を現在の約100人から倍以上増やす予定だと、Origamiの創業者で代表取締役社長の康井義貴氏がインタビューで語っている。

しかしOrigamiの競争相手各社は手強い。電子商取引大手の楽天は、自前の銀行を抱え、1,500万人以上の顧客を抱えるクレジットカードを持ち、携帯電話ネットワークも現在構築中だ。通信アプリのLINEは、日本の人口の約半数がインスタントメッセージのやり取りで同社のアプリを毎日使うほどの大手、そしてポータルサイトYahoo Japanを運営するヤフーは、ソフトバンクグループとインド新興企業のPaytmと提携した。国内に1,000万人のユーザーを抱えるフリマアプリのメルカリもまた、モバイル決済市場への参戦を発表している。

「LINE、ヤフー、楽天にとって、サービスのエコシステム拡大やポイント制度の一環としてモバイル決済を構築するのは理にかなっている」と話すのは、都内にある金融情報サービス会社モーニングスターのアナリスト、伊藤和典氏だ。「(モバイル)決済が独立した事業として大きな利益を上げるとは想像しにくい。」

顧客を囲い込みたいというニーズのおかげで、Origamiは顧客と直接的な関係を築きたい小売業者に対して競合他社より一歩抜きん出ることができる、と康井氏は話す。これまで顧客への働きかけをダイレクトメールやメルマガに頼っていた店は、顧客の持つスマートフォンにまでアクセスできるとなれば、そのための出費をいとわないはずだとOrigamiは考えている。たとえば、Origamiの決済アプリを利用する美容院は、過去の利用客に対して次回のカットで使えるクーポンをメッセージで送ることができる。

「(企業間で)モバイル決済戦争が起きているかのように人は話すが、本物の敵は現金だ」と康井氏は言う。「市場自体が成長するのであれば、参入した企業は皆勝者になれる。」

QRコードは点の模様が付いた正方形のコードで、スマートフォンのカメラで読み込むことができる。トヨタグループの1社が1990年代、自動車部品を追跡するために開発した。しかし20年近く前、電車の運賃で非接触型のデジタル決済が開発されると、そこで使われているいわゆる近距離無線通信(NFC)技術の方を日本は選んだ。日本で現金がいまだに主流である理由として、NFC決済の普及にはコストがかかること、現金自動預払機(ATM)の利便性の良さ、財布を落としても大抵は持ち主に戻ってくる文化、などが挙げられてきた。しかし一方中国では、QRコードが独占的だ。

日本銀行の報告書によると、2016年の個人消費のうちクレジットカードを含むキャッシュレス決済の割合は日本ではわずか20%だったが、中国は60%、韓国は89%だった。

(関連記事:現金って必要?銀行は?私の財布は携帯電話:QuickTake)

小売業者にとって、店舗にNFC決済端末を導入するのはコスト面で高く付きかねないが、QRコードはタブレットや紙に印刷したものでも使用が可能だ。しかも利用する客側で必要なのは、カメラ付きスマートフォンだけ。Origamiは昨年の時点で、大阪、福岡、名古屋、仙台の営業所を設立する中、今年3月までに小売10万店舗でのアプリ導入を目指している。なおLine PayのQRコードサービス導入の小売店舗数は20万店。楽天は数字を公表していない。

Origamiは、新規顧客の開拓に関しては、潜在的なユーザーがいると考えるクレジットカード会社と提携している。Origamiは最近、パートナー企業を対象に、その会社のアプリにモバイル決済機能を持たせられるようにするソフトウェア開発キットを発表した。ユーザー1,300万人を抱えるクレジットカード「TS CUBIC CARD」のトヨタファイナンスは、来年度から採用する予定だ。

康井氏は次のように話す。「カード事業を持っている企業はどこも、モバイル決済事業に参入したいと考えている。もっとデータが欲しいからだ。われわれは、そのインフラになれる。」

Origamiの最新の投資ラウンドで資金提供をした企業の中には、トヨタファイナンスも含まれる。「自社アプリの開発をOrigamiに最優先に取り組んでほしいと考えたからだ」とトヨタファイナンスのグループマネージャー、竹下毅氏は説明する。株主のリストにはまた、金融会社のジェーシービー(JCB)、クレディセゾン、三井住友カード、中国の銀聯国際といった企業が名を連ねる。

「何かを普及させるには、ユーザーに付加価値を提供する必要がある」と話すのは、ブルームバーグインテリジェンスのアナリスト、Vey-Sern Ling氏だ。「日本ほど発展した国では、中国のようにモバイル決済が急速に普及するのはおそらく、かなり難しいだろう。」

 

この記事はBloombergのPavel Alpeyevが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。

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